斎藤仁さんの思い出

    柔道のロサンゼルス、ソウルオリンピック2大会連続の金メダリスト斎藤仁さん
   が一昨日亡くなられました。54歳の若さでした。
    30年以上前の話です。東京で会社員生活を送っていた私は、会社の近くの
   若林のアパ−トに住んでいました。ここは国士館大学が近くにあり、ジャ−ジ姿の
   学生さんとよくすれ違いました。アパ−トから歩いてすぐのところに商店街(多分
   松陰神社商店街?)があり、わたしはそこにある喫茶店で休日のランチを楽しんでい   
   ました。席で喫茶店のスポ−ツ新聞を開くと、そこに斎藤仁さんの写真がデカデカ    
   と載っていました。ロサンゼルスオリンピックで活躍が期待される選手の一人とし
   て、斎藤選手のインタビュ−記事が載っていたのです。その時、ドアベルがカラン、   
   カランと鳴り、ジャ−ジ姿の一団が入ってきました。通路をはさんで私の向かい側の   
   テ−ブル席についた若者を見て、「あッ!」と思いました。新聞の写真の人物がそこ   
   にいたのです。『斎藤仁さんだ!』。斎藤さんは後輩に「○○スポ−ツ紙を持ってこ   
   い。俺が出てるんだ」と私が読んでいる新聞の名を告げました。後輩の人が新聞ラック
   を見に行きないことを告げると(私がもってますから)、「そうかあ」と残念そうにし
   てました。私は立ちあがり、「どうぞ」と斎藤さんにそのスポ−ツ新聞をわたしました。
   斎藤さんは「おっ、すいませんね」とニコッとして新聞を受け取ってくれました。斎藤仁
   さんはみるからに大きくて陽気で元気な好青年でした。確かその時は『パフェ』を注文
   していました。斎藤さんに会えたことは、今でも東京生活の中での自慢の思い出です。
   斎藤仁さんがロサンゼルスオリンピックで金メダルに輝いたのは、それから一年後のこと
   でした。  早すぎますよね。ご冥福を心からお祈りいたします。